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解決済みの質問

降伏点以下 疲労限度 以上の応力でなぜ破壊

お世話になります。
色々考えていましたが、やっぱり私の中で説明がつきません。
回転曲げ疲労限度σwb=0.53σ(引張強度) と引張圧縮疲労限度、曲げ疲労限度もσ(引張応力)の0.35~0.5倍となってます。
 通常、鋼の降伏応力はσの0.6~0.8倍なので、降伏応力>疲労限度 になります。
 よくよく調べてみると疲労破壊の起点となる部分はすべり帯(ミクロ的)
により発生した突出し、入込み部から亀裂進展している。これって塑性変形
ではないですか?
 降伏点以下では弾性変形なので応力解放後は元に戻る変形なのに、疲労破壊
の時ではミクロ的ながら塑性変形するのには矛盾を感じます。
 疲労破壊に携わっている方たちはこの辺はどのように理解されてますか?
ご意見頂ければ幸いです。

投稿日時 - 2013-05-01 22:35:00

QNo.9472766

困ってます

質問者が選んだベストアンサー

疑問を抱かれている点は,現実の現象を理想化した状態を真実と受け止めていらっしゃることから生じています。
疑問を解決するには,まず,線形や弾性という現象は,厳密に見る限り,存在しないと思われた方が良いと思います。

材料力学の世界では,「材料は,力をかければ必ず塑性変形するものだ。しかし,その塑性変形は,力(応力)が小さいうちは工業的・日常生活的に見る限り無視できるものだ。だからその力(応力)が小さい領域を弾性域と呼ぼう。塑性変形(塑性ひずみ)が0.2%を超えるとさすがに無視できなくなるので,この位置での応力を耐力と呼ぼう。」という約束になっているに過ぎません。
降伏応力が明確に現れる軟鋼でさえ,降伏応力に達する前に少量なりとも塑性変形が発生するのは同様です。
実際,材料をミクロに観察する研究者たちは,「弾性域でも転位は発生する」ことを突き止めています。
あなたがおっしゃる「降伏点以下では弾性変形なので応力解放後は元に戻る変形」がこの領域に該当します。

ですから,応力が小さくても,塑性変形は発生し得るのです。荷重の反復が少ないうちは,荷重が反復するごとに発生して累積していくその塑性変形もやはり目立ちません。要するに疲労は(発生しているのですが)工業的には無視できます。しかし,それが10^5回・10^6回…と積み重なっていくと,累積した結果が目に見えてきてやがては破断に至ってしまうので,疲労現象が顕在化するわけです。
「疲労破壊の時ではミクロ的ながら塑性変形するのには矛盾を感じる」とおっしゃいますが,別に何ら矛盾ではありません。

なお,最近では10^9回以上のギガサイクルの領域の研究も進んできて,疲労限度というしきい値も厳密には存在しないという方向になりつつあります。ただし,一方では工業的な視点から,すべての材料において10^7回における時間強度を「疲労限度的な格」とし,一般的な機器の長寿命設計の基準とする方法も定着しつつあります。

投稿日時 - 2013-05-06 22:18:00

お礼

ご回答ありがとうございます。
詳細な説明に感謝致します。
>材料力学の世界では,「材料は,力をかければ必ず塑性変形するものだ。しかし,その塑性変形は,力(応力)が小さいうちは工業的・日常生活的に見る限り無視できるものだ。だからその力(応力)が小さい領域を弾性域と呼ぼう。塑性変形(塑性ひずみ)が0.2%を超えるとさすがに無視できなくなるので,この位置での応力を耐力と呼ぼう。」という約束

とういのは私が説明を求められた際には、説明がし易く初心者も理解しやすい
と感じました。

 皆様方からの貴重なご意見、ありがとうございました。もやもやがすっきりしたのと疲労破壊について更に興味が持てました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。

投稿日時 - 2013-05-08 13:15:00

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回答(6)

私は短期破壊と長期破壊でそのメカニズムが違うと理解しております。破断面
解析では延性破壊か脆性破壊かが論じられますが、前者が短期、後者が長期
破壊でよく見られると思います。材料の微細な欠陥(転位)が移動する時間が
問題になります。疲労を語る場合、高サイクルとか低サイクルというのはこの
時間レベルにおける感度を表しています。参考になりそうな資料を紹介して
おきます。

http://ms-laboratory.jp/strength/st_top.htm

投稿日時 - 2013-05-06 11:07:00

お礼

ご回答ありがとうございます。
「時間軸」での違いというのは興味深い区分けと思います。少し話はそれますがある破壊現象をシュミレーションなどで論ずる時に負荷が加わってから直に
破壊したのか、ある時間経過後に破壊したのかで延性破壊的見方での解析
と疲労破壊的な解析に区分ける議論を社内で耳にします。脆性材料と思われる
ものも引張強度以上の応力を付加すると瞬間的に破壊が起こります。初期の
亀裂周辺は延性破面→脆性破面になるとの認識でいますので、短期破壊の場合
は延性破壊式などを適用したり、長期破壊の場合はSN線図やそれをモディファイしたものを活用しています。そう考えると「時間軸」というのは非常に興味深いキーワードです。

投稿日時 - 2013-05-08 13:09:00

バリや傷などの凹凸が有ると、塑性領域でもその部分に応力集中します。
全体としては弾性領域でも、局部的にはギリギリなのかもしれません。
繰り返し応力を受けると、この部分が起点と成って疲労破壊を起こします。

レーシングカーなどのエンジン部品の中には、ピカピカに磨いて使う物が有ります。
これは、応力集中をさせないためです。
ギリギリの設計だとこの様に、表面精度も重要です。

投稿日時 - 2013-05-02 09:10:00

お礼

ご回答ありがとうございます。
応力集中はキーワードと私も感じました。降伏点以下の局所的な突出し
、入込み現象の繰返しにより応力集中箇所が増え、亀裂発生につながる
のだと皆様のご意見を伺い、そう感じています。

投稿日時 - 2013-05-08 12:56:00

私は科学者では無く機械設計の立場で、金属疲労について確か実際に疲労試験
を行ったことはなかったように思う。然しながら過去にも事故などで疲労破壊
に至ったものを見聞いているが貴殿のように深く余り考えたこともなかったな

昔と言っても少し前までは、降伏点以下では壊れないと考えられて来たのです
我々人間は科学的に分かったようで未だに重力とは何かという単純明快なこと
すら解っていない。然しながら最新の知見で設計するのが重要だと心得ている

そう言えば、降伏点や疲労限度を基準強度とする考え方も然程古くはない筈
最小引張強さを基準強度とした文献が昔は主流だったような気がします
今後は疲労限度を基準強度にすることが主流に成るかもしれませんね

参考URL:http://www.chuden.co.jp/resource/corporate/news_115_N11503.pdf

投稿日時 - 2013-05-02 07:53:00

補足

ご回答ありがとうございます。
貴重なご意見に感謝致します。

投稿日時 - 2013-05-08 12:52:00

タニシ様のご意見を少し補強します。疲労破壊とは塑性ひずみの積み重ねで材料の分離(破壊)をもたらすものです。原子間の結合力が破れて壊れるのでは決してないのです。塑性ひずみとその蓄積だけを考えるのです。
 降伏応力とはマクロには塑性変形が認められない応力限界です。ミクロにはもっと小さな応力でも塑性変形を開始していますが、そこでは雪崩のように全面的なすべり変形は起きていません。局所的なすべり変形はありえます。単純な(一方的な)負荷ではすべり変形はやがて停止して、それ以降の変形(損傷)はありえません。正逆反転する繰返し負荷ではすべり変形は停止し難いので、不可逆の塑性ひずみが進行・蓄積するのです。これが局所的な表面起伏⇒初期き裂に繋がるのです。
 さて、正逆反転する繰返し負荷ではすべり変形が停止し難い理由をご説明することは困難ですが少しだけ。純金属の変形応力は大変小さなものですが、これにいろんな工夫をしてさし当り雪崩のような変形発生を抑えていますが、局部的には抑えきることが出来ません。局所での微小なすべりが局所での応力分布を変動・増減させます。局所応力分布が負荷繰返しに伴って変動するので局所でのすべり変形を停止させることが困難になるのです。この問題の困難さをご理解下さい。

投稿日時 - 2013-05-02 07:28:00

お礼

ご回答頂きありがとうございます。
これもまた興味深いお話です。
回答者さま(1) 回答者さま(2)のお話を伺っていると降伏点以下でも微細な
局所的な塑性変形は起こっているというのが疲労破壊に携わっている方達
の共通認識なのかと感じました。

投稿日時 - 2013-05-08 12:51:00

 この辺は、機械屋と冶金屋の境界領域ですよね。
 冶金屋はホールペッチの式など知っていて、単結晶では滑りが生じる応力でも多結晶ではマクロな塑性変形を発生しないと考えるところです。1個の単結晶で滑り変形が生じる応力をSRSS(臨界分解剪断応力)と言って、これはマクロ(多結晶)的な降伏点より低いのです。
「降伏点以下では弾性変形」というのはマクロ的には正しいのですが、ミクロ的には結晶学的な滑り帯(スリップバンド)は既に発生しており、それを塑性変形と呼ぶかどうかは、立場の違いにすぎません。
 よくある誤解として、疲労限以下の応力では疲労破壊しないので疲労していないと言う人がいますが、マクロ的には弾性領域でも実は疲労は蓄積されているのです。その証拠に、疲労限以下の繰返し応力にさらした試験片を引張り試験でもしてみれば、正常な引張り強さ以下の応力でも破壊します。つまり、何らかの疲労が蓄積されており、入込み部から亀裂進展しているのが観察されるでしょう。それを停留亀裂と言います。

投稿日時 - 2013-05-02 01:25:00

お礼

ご回答ありがとございます。
興味深いお話ありがとうござます。

投稿日時 - 2013-05-08 12:46:00

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