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SUS製ボルトの締付けについて
2023/10/18 20:23
- SUS304のボルトをSUS304のめねじにトルクレンチで締付けを行い軸力を計測しております。同様の実験をSCM435のボルトとSS400のめねじで行っておりますが、前者の方が軸力が低く(トルク係数が高く)ばらつきが大きいです。
- SUS製のねじでは軸力が低くなってしまう原因とばらつきが大きくなってしまう原因をご教示いただきたくよろしくお願い致します。
- また、SUS製のねじ部で軸力が低くならずに、ばらつきも大きくならないような組合せや表面処理はあるでしょうか?
SUS製ボルトの締付けについて
2012/12/26 18:07
SUS304のボルトをSUS304のめねじにトルクレンチで締付けを行い軸力を計測器で計測しております。
同様の実験をSCM435のボルトとSS400のめねじで行っておりますが(表面処理は共に電気亜鉛めっき)
前者の方が軸力が低く(トルク係数が高く)ばらつきが大きいです。
SUS製のねじでは軸力が低くなってしまう原因とばらつきが大きくなってしまう原因をご教示いただきたくよろしくお願い致します。
また、SUS製のねじ部で軸力が低くならずに、ばらつきも大きくならないような組合せや表面処理はあるでしょうか?
質問者が選んだベストアンサー
考えられる原因
1.めっきの有無
SCN435、SS400、亜鉛メッキの場合、硬質基材の上に亜鉛という軟質金属トルク係数が高くあります。
この場合、ねじ表面の凹凸に亜鉛が入り込むことで食込みが少なくなります。
さらに亜鉛が間に挟まっているのでせん断変形が起きやすくなります。
(アンカー効果が小さい)
2.接触の違い
SUS304の同種材接触と鉄-亜鉛の異種材接触の違いです。
同種材接触の場合、熱や圧力が加わることで接合してしまうことがあります。 (かじりや焼き付き)
特にSUS304、316はかじりやすい素材と言われています。
以上からSUSの方がアンカー効果やかじりが起きやすいため、トルク係数が高くなり、かじりの起き具合が表面状態で変わるのでばらつきが大きくなるものと思われます。
耐熱、耐食性からSUSのねじが必須な真空機器では
1.二硫化モリブデン等の固体潤滑剤の塗布
(ICF真空フランジの標準)
2.金、銀などの軟質金属メッキ
(Swagelok、フジキンなどの高純度継手で採用)
などの方法でかじりを防止し、軸力を安定させています。
(窒化チタンコートも使うらしいです。)
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その他の回答 (5件中 1~5件目)
仕事の関係でボルトの"トルクー軸力試験"をよくやってます。
SUSのボルトはバラツキがひどく、この事をご存知の方は、ステンレスでドライ状態でのトルク計算がアテにならない事をご存知です。
ヨーロッパでは第3社機関でボルトジョイントの研究が行われてきており、そういったところでSUSの話をすると、一般常識の話として知られています。
原因は材料特性によるもので、SUSという材料が所謂、特殊材になっているからだそうです。
改善策は潤滑剤を使用して下さい。
ただし、一般的なエンジンオイル系(5-56など)のものではなく、最低モリブデン入りのもの。できればグラファイト系のものが良いです。
テストをしてみれば、明らかになりますが、グラファイト系やモリブデン系のものだと摩擦係数が低くかつ安定しますが、エンジンオイル系のものは、ドライよりバラツキがひどくなる事があります。
SCM435でめっき付きという事は、強度区分10.9だと推測しますが、これも材料特性上、試験結果はSUSに似ています。
この場合の対処はエンジンオイル系の物でもドライよりはバラツキが抑えられます。
以上のことから、SCMでもSUSでもモリブデン系かグラファイト系の潤滑剤を使用すると同じトルクでも高い軸力が得られ、且つバラツキが最小限になります。
しかし、ここで考えておかないといけないのは、回転緩みについてです。
もし実用的な事を検討されての試験であれば、
ノルトロックワッシャーの様な潤滑剤に影響されない緩み止め対策を検討してみて下さい。
お礼
2012/12/27 09:34
ご回答ありがとうございます。
参考URLありがとうございました。
潤滑剤はニッケルベースのモリブデン系を使用しています。
潤滑剤の影響による回転緩みは検討していなかったので参考にさせていただきます。
他の回答者さんも記載していますが、SUSは粘りがあり焼付き易い特徴を有しています。
と云うことは、摩擦係数が高くなる要因を有していることになります。
さて、ボルト締め付けの際に掛けるトルクは、
? ボルト頭部座面の摩擦損失となる
? ボルトねじ部の摩擦損失となる
? ボルト軸の軸力となる
となり、その内訳はURLの如くで、その計算式もURLの如くです。
以上から、同じトルクをボルトに掛けると、
ア)摩擦係数が高い方が、ボルトの軸力が低くなる
イ)摩擦係数が高い方が、摩擦係数のバラツキが大きく、ボルト軸力のバラツキも大きくなる
ウ)焼付き易いので、微小異物を挟んだ場合、その部分が焼付き摩擦係数が総合的に増加した
ことになり、ボルトの軸力が減ることになる
また、摩擦係数のバラツキも大きくなり、ボルト軸力のバラツキも大きくなる
傾向となります。
SUSでも粘りの少ない物もあり、例えばSUS303は粘りが少ないので、サクサクと削れる材料
(快削鋼)のボルトを使用する。<SUS303は、耐食性が劣りますが、…>
それか、A2-50ではなく、A2-70用の(強度区分が高い)ボルトを使用して、微小異物に対して、
傷付き難い材料を選ぶかです。
ねじ部への使用は感心できませんが、ボルト頭部やナット座面へのモリブデン配合のグリース
を使用し、焼付き防止させ、摩擦係数を安定化させる。
少し効果ですが、低発塵の粘りがあまりない、グリース使用でも可だと思います。
ねじ部分の摩擦係数は仕方がありませんが、ボルト頭部やナットの座面の摩擦は、
その部分にグリースを塗布すれば、焼付き難くなり、バラツキは緩和します。
上記回答の最初のURLと2番目のURLを確認すれば、効果的な理由が判りますよ。
お礼
2012/12/27 09:31
ご回答ありがとうございます。
参考URL確認させていただきます。
摩擦係数が高いことがばらつきに影響するんですね。
これらの事象はやはり焼き付きが関連しているのでしょうか?
SUS303も検討したいと思います。
SUSボルトネジ部の加工粗さが原因。
軸力はネジ部、ボルト頭部の下面の面粗さに起因する摩擦係数に大きく影響されます。
摩擦係数を小さくする手段。
1、ボルト部、頭部の下面への潤滑剤塗布。
塗布材料としては油、グリース等々。
塗布すると軸力はアップします。
しかし、軸力アップする分ばらつきも大きくなります。
2、締め付け速度アップ
手締めよりインパクトレンチ使用時の方が軸力がアップします。
注意点
軸力アップはボルトの引っ張り強度以内であること。
提案
SCM45、SS400はメッキ付。メッキ厚さはいくら。
同じ条件でSUSにメッキしたらどうなるか確認してみては如何か。
宜しく。
お礼
2012/12/27 09:18
ご回答ありがとうございます。
潤滑剤は現在使用しているので表面処理を試したいと思います。
下記、HPを参照ください。
http://tohnichi.jp/technical/pdf/02_bolt_tightening_J.pdf
【軸力ばらつき要因】
●潤滑剤
●被締結材の機械的要因
●環境
●締め付け速度
●ねじ繰り返し使用等
私の経験からは、ねじー比締結材間の座面の摩擦係数が大きく軸力に関係し、面が粗いと軸力を食ってしまうので、これ(面精度のばらつき)が一番の要因かと思われます。また、締め付け速度もなるべく同じ条件にしてください。
なお実際にねじに生じる軸力は、ねじと被締結体間の荷重分担で決まるものなので、ねじ材の弾性率に違いがあれば多少の差異はでてしまうでしょう。
ご参考まで。
お礼
2012/12/27 09:16
早々の回答ありがとうございました。
参考にさせていただきます。
お礼
2012/12/27 09:25
ご回答ありがとうございます。
SUSがかじりやすいことがトルク係数の上昇に関連しているのですね。
ばらつきの原因も表面状態が変化するためというのは納得です。
SUS304,316(オーステナイト系)はなぜかじりやすいのですかね?
潤滑剤はモリブデン系の物を現在使用しています。
表面処理は検討したいと思います。