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2条ネジタップ加工の注意点
2023/10/14 21:23
- 2条ネジタップ加工において、下穴のサイズに注意が必要です。
- M10 P1.5の2条ネジのタップ加工では、下穴のサイズは8.5で問題ありません。
- しかし、M5 P0.8の2条ネジの場合、下穴を4.3でタップ加工すると、ネジが折れる可能性があります。
2条ネジタップ加工
2006/10/03 22:36
M10 P1.5の2条ネジのタップ加工なのですが、下穴はメートルネジと同じで
8.5でよろしいのでしょうか?
同じくM5 P0.8の2条ネジなのですが、下穴を4.3でタップ加工をし、ネジの有効幅が5mmなのに50個くらいでタップが折れてしまいました。
下穴が小さいからでしょうか?
回答 (4件中 1~4件目)
理論的なタップの下孔径はねじの山の形状とピッチ、ひっかかり率によって決まります。
ねじの条数はリードを決定しますが、ピッチに影響しませんし、ねじの山形とも無関係なので、ねじの山形がメートル並目ねじならば、ねじの下穴の理論値は次の式で求められます。(掛け算の「掛ける」記号を代数のエックスと混同しないよう * で表しています)
下孔径mm=ねじの呼び径mm-{2*(0.541266*ピッチmm)*(ひっかかり率%/100)}
ここで、「0.541266*ピッチmm」はねじの規格表にある「ひっかかりの高さ H1」ですから、メートル並目ねじ以外の山形では、ねじの規格表を調べて「呼び」・「ピッチ」に対応する「ひっかかりの高さ」を入れればよいので、一般化すると次のようになります。
下孔径=ねじの呼び径-{2*(ひっかかりの高さ)*(ひっかかり率%÷100)}
「ひっかかり率」は加工されためねじの山の高さと理論的な山の高さの比率で次の式で得られた値を%で呼びます。
100*(ねじの呼び径mm-下孔径mm)÷(2*ひっかかりの高さmm)
ひっかかり率100%のときは、下穴はそのねじの規格のめねじの内径と等しく、ひっかかり率60%では下穴はねじの溝と山の幅が等しくなる「有効径」まで大きくなります。
M10 P1.5では、ひっかかり率100%のときの下穴はφ8.38、ひっかかり率60%では下穴はφ9.03になります。
M10 P1.5ではひっかかり率80%以上でJIS 2級をクリアします。
φ8.5の下孔ならば、ひっかかり率は約90%というわけです。
M5 P0.8で、ひっかかり率60%というとφ4.48です。M5ではひっかかり率75%以上でJIS 2級なので、クリアするには下穴はφ4.35以下φ4.13以上ということになります。
はじめに「理論的には」と書きましたが、リードの大きい多条ねじの加工では、刃具に大きな負担がかかるので、なかなか理屈通りにはいかないものです。
ねじの等級を問題にしないなら、B坊の経験では実用上はひっかかり率60%でも何の問題もない場合がほとんどです。
要求される精度内で下穴を大きくできるならば、思い切って大きくすることがタップ折れ対策では何よりです。
B坊の経験では、タップ折れの原因は、1に切り粉詰まり、2にタップ刃先の鈍り、3、4が無くて5に不適当な刃具、というところですね。
2条ねじのタップというと、工具メーカーの標準在庫品ではないと思われますが、刃具の設計が悪い・設計通りに研削されていない、という可能性もあります。自作タップなどでは逃げが足りないことが多く、刃先が少し鈍っただけで加工中に被削材でタップが締め付けられたようになって折れることが多いですね。
被削材、刃具、加工条件が不明なので、下孔4.3にM5で有効深さ5のとき、50回加工でタップ折れが、多いのか少ないのか、これ以上は何とも判断できません。
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いわゆる何番タップをお使いでしょうか?
2条ですから通常のハンドで2番タップだと食いつき(不完全ネジ部分)が
5山ですが2条だとそれ以上必要だと思います
2条ねじに関しては不詳ですが、以下をご参照されてみてはいかがでしょうか。
★タップの下穴径加工によるタップ折損対策
http://www.techno-qanda.net/dsweb/Get/Document-8988/2336.pdf
2条ねじの下穴の規格はわからないのですが、
現場で簡単にできる方法として、
タップの谷径をノギス等で測り、その径よりちょっと太めのドリルで下穴を明けてはいかがでしょうか。
お礼
2006/10/08 15:27
とても参考になりました。一言にタップと言っても難しいものです。
ありがとうございました。