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ボルトの強度と設計基準について
2023/09/06 15:41
- ボルトのJIS強度と鋼構造設計基準強度について説明します。
- JIS規格によるボルトの強度区分と許容応力についてご説明します。
- 鋼構造設計基準ではボルトの許容応力度を定めていますが、この基準は厳しすぎると感じる場合もあります。
ボルトのJIS強度と、鋼構造設計基準強度について
2005/02/09 13:50
SS400のフランジ同士を締結するボルト(引
張り・せん断を受ける)を選定する上で(図面
に指示する上で)、強度を検討していて混乱してしまったので教えて下さい。
JISB1180を調べると、呼び径六角ボルト(こ
の場合は並目ねじ)については部品等級(A,B,
C)毎に呼び径dに応じた強度区分が規定されて
います。
その上で、JISB1051を調べると、各強度区分に
ついて最小引張荷重および保証荷重が規定されて
います。
例えば、「呼び径六角ボルト A M24 5.6」
について考えると、JISB1180 附表1.3より、
3mm≦d≦39mmであるので強度区分は5.610.9
であると読み取れ、5.6の強度を選定したとし
ます。
次に、JISB1051の表7によると、M24の強度区
分5.6のボルトは、保証荷重は98800Nであり、
有効断面積は353mm2であるので、保証応力?を
計算すると約280MPaとなります。(ちなみに、
表6より同様に最小引張荷重を計算すると約499
MPaとなります。)
これに対し、建築学会の「鋼構造設計基準」
では、ボルトの許容応力度は引張りft0=1.2t/cm2
(約118MPa)、せん断τ=0.9t/cm2(約88MPa)と
決められており、これらが同時に掛かる場合は
fts=1.4×ft0-1.6×τ=24.4(MPa)
(且つ fts≦ft0)
を許容引張り応力度と定めています。
つまり、JISではボルトの強度区分ごとに許容
応力が規定されているのに対し、鋼構造設計
基準では「ボルト」とひとくくり(高力ボルトは
除く)にしていると思うのです。また、上記の
JISの値はせん断を考慮していないとはいえ、
せん断力を加味しても、鋼構造基準の方が許容
応力度として厳しすぎる様に感じます。
どのようにこれらを整理して考えたら良いの
か、混乱しています。長くなりましたが皆様の
御意見を伺いたく、宜しくお願い致します。
質問者が選んだベストアンサー
まず許容応力は作るものが機械なのか建築物なのかで大きく違います
機械でもどこに使うのか,何に使うのかどのような荷重が加わるのか,で違ってくるのは#1さんも示唆されている通りです
またJISはあくまでボルト単体の性能を規定していますけども鋼構造物の指針は鋼構造物を造る際の学会独自の基準ですから用途を限定しているため大まかなところは簡略化した式を用いたり許容応力は何十年というスパンで錆や外気にさらされたり繰り返し荷重を受けることを前提に指示しているのです
道路橋の示方書を見るとまた微妙に違ってくると思いますしクレーンの構造規格になると更に厳しい条件が示されているはずです.
同じワイヤを使ってもエレベータで人を吊る場合と荷物を吊る場合,荷物を固定する場合で倍以上許容荷重が変わってくるのと似ているのではないでしょうか?
ご自分が何を作るかによってどの学会や協会の指針に則って設計するか,を決定すればいいと思います
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その他の回答 (3件中 1~3件目)
>それにしても、JISで強度区分が規定されてい
るならば、各種の基準とJIS規格との相関性が
明記されていればいいのにと考えるのは欲張り
でしょうか。
同感です。でも,欲張りでしょう。(笑)
私の思う理由;
? JIS規格を審議する人たちは,必ずしも,他の業界に精通しているわけではない。
? したがって,無責任に,他の業界の基準に言及できない。
? JIS規格も国際規格(ISO)に整合する必要があるために,必ずしも日本の思惑通りにはできない。
それぞれのJIS規格には,最後に「解説」が載っています。ここを読むと,改正した背景の説明がありますので,参考になると思います。
建築学会の「鋼構造設計基準」について,申し訳ありませんが知りません。
JIS B8266付表3.2によると,材料SS400のボルトで最小引張強さ400N/mm2であれば,許容引張応力は常温で54N/mm2と規定しています。安全率=最小引張強さ/許容引張応力=7.4になります。
この規格は,高圧ガス保安法に該当する圧力容器について規定しています。この規格と建築学会の「鋼構造設計基準」と比較すると,このJIS規格のほうが厳しくなっています。使用目的や適用規格によって,許容引張応力が変わると,私は考えています。
お礼
2005/02/09 16:44
早速の御回答、有難うございます。
確かに、用途に応じた規格を考慮する必要が
ありますね。あと、JIS規格は基本であり、実際
の使用については上乗せ条件(安全率等)が付く
のも納得いく話です。そういった意味では建築に
しても圧力容器にしても、実際に用いられている
許容値を用いる方が安全ですよね。
それにしても、JISで強度区分が規定されてい
るならば、各種の基準とJIS規格との相関性が
明記されていればいいのにと考えるのは欲張り
でしょうか。